忍者ブログ
PBCサイト『Petit -ペティット-』に参加中のPLが、主に独り言を呟きたいという欲求を満たす為のブログです。 暫定的に。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


 ジャスティン・ライン・カーマインの生立ち。
 人によっては不愉快な性的要素等を含んでおりますので、閲覧注意。


 ジャスティン・カーマインはペティットのそこそこ裕福な家の長男として生まれた。
 母は他の街の出身だったが、父はペティットの中流家庭の生まれだった。共に人間だが、母には僅かにエルフの血が混ざっていた。
 父の職業は交易商。家業がそうだったのではなく、彼が独自に始めて、そこそこの成功を収めていた――とは言え、大きな商社を起こしているわけでもなく、自分で忙しくあちこち行き来していた。母とはそこで出会って、殆ど駆け落ちの状態で結婚したらしい。
 父の両親は嫁を連れて戻って来た息子を許しはしたが、母は殆ど実家と絶縁していたという。ジャスティンは本当のところを知らない。ラインはそれを知ろうとも思わない。

 母は少しばかり病弱で、同じく精神の方も少しばかり虚弱だった。一言で言えばいつまでも少女趣味で、感傷的で、夢見がちで、依存的な人格の持ち主。
 夫婦仲自体はよかったが、父は相変わらず忙しく、妻子を残してあちこち飛び回っていた。いつも寂しそうな母を見て、ジャスティンは子供心に「自分が母の傍に居て守ってあげなくては」と思っていた。
 ジャスティン自身も母に似たか体が丈夫とは言い難く、外で走り回るよりも部屋で本を読む事を好んでいたから、それで丁度いい部分もあった。
 ある意味では、それがいけなかった。

 ジャスティンが十歳を過ぎた頃、父が小さな女の子を連れて帰って来た。要約すれば「身寄りのないのを引き取った」のだというその少女は、父によく似ていた。
 一見して夫婦仲は変わらなかった。ジャスティンは母と“義理の妹”の間に何か問題が起こるのではないかと心配したが、幸いか不幸か、それはなかった。
 ただ、母は、ようやく大人になり始めた息子に縋った。

 そうしなければ死んでしまうと言うように関係を求め、泣いて時に謝りながら行為に及ぶ母親を、ジャスティンは拒めなかった。
 学院で一通りの基礎科目などを修め、「童話作家になりたいから外国で勉強をする」と理由をつけて街を出るまでずっと、それは変わらなかった。

 それから一年も経たない内に、母と“妹”は亡くなった。母は、薬に溺れたのだと聞いた。実際に死んでから、随分後に。
 それで体がやられたのか、狂乱して事故でも起こしたのか、売人とトラブルでもあったのか、詳しい事は何も分からなかった。“妹”はそれに巻き込まれたらしいと聞いたが、やはり確かな話は何処にもなかった。
 すぐに父親の行方を調べて会いに行くと、彼は女を連れていた。それを見て何も分からなくなって、ジャスティンは“護身用の短剣”で父を刺し殺した。
 どよめく人ごみを抜けて、誰かも分からない追っ手からわけも分からないままに逃げ、転がり込んだ裏通りの酒場で、現在の師に会い、気まぐれに匿われた。

 もはやジャスティンには何もかもが恨めしく憎々しかった。恐らくは幸福だった幼少期の一瞬と、愛読した夢のような物語の数々と、永遠のように感じる爛れた青春と、母の弱さと、悲劇を招いた“妹”と、母を裏切った父と、逃げ出した自分と、薬と、それを扱う人々と、母と“妹”の死を覆い隠した何かと、何が正義か分からないような正義と、その時まさに目の前にあった裏社会と、何もかもが。
 そうしたやり場のない思いを誘導されるようにして、そのまま師の下に付く。

 師の兄弟子と、その弟子とも会った。
 斜に構え見下したような態度や中途半端な才能の為に周囲の反感を買い、母がまだ優しく思えるような凄惨な辱めを受ける事もあった。
 虚弱な心肺のせいで訓練中に度々死にかけたり、それを補う為の魔具を切欠に特異な能力を開花させたりした。
 やがて一人立ちのできる技術が身につく頃、蓄積した経験が偏った思想に変わり、今に至る。

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
E-Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
TrackbackURL:
バーコード
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
一番どうでもいい所
最新CM
[06/03 烏野]
[06/03 ぴぴん]
[05/27 灰色]
[05/23 烏野]
[05/22 セシリアPL]
プロフィール
HN:
烏野
性別:
非公開
自己紹介:
性別年齢職業血液型誕生日その他、全てご想像にお任せ。
確かなのは変態という病気を患っている事と、頭がよくない事、年齢制限は大丈夫だという事。
ブログ内検索

Template by Emile*Emilie
忍者ブログ [PR]